新潟県小千谷市に、マニアには超有名な激渋温泉があります。まずはその外観に驚くかもしれません。
 
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民家のようにも、個人商店のようにも見えるこの建物こそが、今回の目的地の温泉なのです。 
入口の上には、味わいのある字体で「ミヤマサンゴ茸」の文字が。失礼ながら、怪しげなムードが漂っています。
 
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この温泉は「えこじの湯」といいます。「あなたの心のパートナー」というキャッチコピーが泣かせますねえ。
この看板がなければ、いや、あったとしても、中に入るのを躊躇する人が多いのではないかと思われます。
 
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実はここ、研究所でもあるのです。こちらのご主人は、独自の方法で特用キノコの開発に勤しんでおられます。
 
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「ごめんくださーい」と声をかけると、中からゆっくりとした動作でご主人登場。「入浴できますか」と尋ねると、
「すまないが、あと1時間後に来てくれないかな」とのこと。先客で混み合っているのかな?
仕方ないので、近くで時間を潰してから出直すと、「どうぞどうぞ」と、今度は居間に通されました。
 
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居間にお邪魔する前に、大浴場入口と書かれた通路の入口に目をやると、「女性入浴中」の文字が。
どうやら先客として女性が入浴中で、それがまだ続いているようですね。
 
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それからしばらくの間、私はこの障子戸の向こうの居間で過ごすことになるのですが、
そこではどのような光景が展開したと思いますか?コタツでお茶を出していただいたのはよかったのですが・・・
室内には、ご主人、奥様、息子さん、私の4人。ご夫婦は昼食の真っ最中。息子さんは寡黙でおとなしい人。
話題豊富なご主人のおかげで沈黙こそありませんでしたが、ちょっと気まずかったですねえ。
とどめの一撃は、「話の続きは後にして、そろそろ風呂に入りなよ」・・・これには思わずずっこけそうになりました。
(おいおい、先客はいなかったのかよ!)
 
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軽い眩暈を感じたのは気のせいかな、なんて思いながら、待望の浴室へ向かうとこれまた不思議な光景が。
 
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通路の壁には毒々しい色をした提灯が並び、その下にはキノコのイラストが。ご主人が書いたのだそうです。
 
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脱衣所は仮設風でB級感に溢れた佇まい。この状態を、ご主人は「アッパッパー」と表現しておられました。
 
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脱衣所にも興味津々の掲示が。温泉とキノコの紹介が入り乱れていますけど・・・
右側:「手造りの湯」→そう、この浴室はご主人が自分で作ったのだそうです。器用な方なんですね~
左側:「此の世に無かった物を作っちゃった」→浴室なのか、キノコなのか?いずれにせよお茶目ですよね(笑)
 
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浴室は予想以上に広々としており、その大部分が湯船によって占められています。湯温低下を防ぐためか、
湯船の半分は木板で蓋がされていました。屋根や壁には隙間が多く、湯気がこもりにくい構造になっています。
なお、1時間(実際はそれ以上)待たされたのは、湯が温いので、加熱してくださっていたからのようでした。
 
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湯船には加温された源泉が注がれています。その湯口は、手足はあるものの、目のない謎の生命体。
この不思議な空間で独自の進化(退化?)を遂げたのでしょうか。ちなみに、全然可愛くありません。
 
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もうツッコミどころ満載で笑いが止まらなかったのですが、湯船に浸かると不思議と気持ちが安らぎました。
湯は無色透明無味無臭でこれといった特徴もありませんが、肌に優しいいい湯だと思いましたね。
 
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入浴を終え、礼を言うと、居間から「お茶をどうぞ」の声が。ご主人のトークショー第2部が幕を開けました(笑)
その話題の中心は、ご主人が自信を持って研究されているキノコのお話。大変興味深かったです。
途中、奥様から「食べてみて」とキノコ料理が振る舞われ、美味しくいただきました。ありがとうございます。
ご主人の健康の秘訣はキノコ料理にあるのかと思って尋ねると、返ってきた答えは・・・
 
「俺はキノコを食べるのは嫌いなんだ」
 
次の客の登場によりトークショーは終了。その時間は、入浴時間をはるかに超過していました・・・
 
【補足】
「えこじ」は「意固地」の意。新潟では、「い」と「え」の発音の区別がつかない年配の方が多いのです。
周囲に理解されなくても、妥協せずに我が道を歩んできた、ご主人の生きざまを物語る名称ですよね。