東北地方の森の中の道をてくてくと歩いていた時のことです。辺りはしーんと静まり返っていました。

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足元をよく見ると、未舗装の路面が濡れています。前日の雨の影響かな、なんて思ったのですが・・・

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あっ!思いがけない光景に、私は立ち止まりました。道端の草むらから湯が流れ出していたのです。

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早速温度計を取り出して湯の温度を測定してみると・・・何と56.4℃!結構アツアツな温泉でした。
ただし、湧出量はかなり少なく、地面をひたひたと流れる程度。これはまあ見るだけでいいかな・・・

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さらに道を進んでいくと、地面の濡れは収まるどころか、むしろ水量が増えているではありませんか。
やがて前方左側に、水溜りが見えてきました。そして、その水溜りから湯気が立ち上っていたのです。

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これは凄い。地面から気泡を伴って、湯がコンコンと湧き出しています。つまり湯溜りなのでした。

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先ほどの場所を第1地点、ここを第2地点とすると、第2地点は57.5℃と第1地点よりも高温。
それにしても、こんな場所に湯が湧いているなんて。事前に全然知らなかっただけに衝撃的でした。

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もし第1地点の発見のみで終わっていたなら、わざわざたらいで入ろうとは思わなかったでしょう。
しかし、第2地点を発見してしまった以上、この温泉に入らずにはいられなくなってしまったのです。
さて、たらいはどこに置こうか?しばらく思案した結果、すぐ側の砂防ダムの堰堤上に決まりました。

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ここではホースが役に立ちそうです。ホースを使用するのは久しぶりで、ワクワクしてしまいました。

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早速ホースの先端を第2地点の湯溜りに突っ込みます。果たして湯をたらいに導けるでしょうか?
たらいを置いた地点は、第2地点よりも少し下がった場所になりますので、きっとうまくいくはず。

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やったー、大成功です!勢いこそ弱いですが、静かに、しかし確実に湯がたらいに注がれ始めました。

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たらいへの送湯状況はこんな感じ。右手手前が湧出場所(第2地点)、左手奥がたらい設置場所です。

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ホースを最大限延ばして使ったのは、少しでも距離を稼いで、高温な源泉を冷ます狙いがありました。

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さあ、たらいが湯で満たされました。ホースを外し、しばらく放置して湯が適温になるのを待ちます。

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鳥のさえずりを聞きながら、木々のマイナスイオンを浴び、じっと過ごすのもまた楽しいものです。
どれだけ時間が経ったかよく覚えていませんが、48.1℃にまで下がったのでいよいよ入浴です。

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ザザーっと溢れ出す未加工の源泉。こんな贅沢ってあるでしょうか。堰堤の上って気分がいいな・・・