毎年9月1日は防災の日。温泉マニアにも、危険を予知し、事故を未然に防ぐための訓練が必要です。
先日、東北地方の山中でちょっとした防災訓練を行いましたので、その時の様子をご報告します。

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この地に降り立つのは久しぶりのことでした。目指すのは、野湯マニアの間で有名な底なし湯沼です。
これまでの下見の成果を最大限に生かし、舗装道路から最短となるコースを見極めスタートしました。

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藪漕ぎをしながら斜面を降下していくと、早くも噴気が見えてきました。興奮を禁じ得ない光景です。

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谷底に到達しました。体力の消耗は最小限に抑えることができたはず。これはとても大事なことです。
さあ、ここを突進すれば、そこにはパラダイスのような光景が待っています。いよいよご対面です!

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ジャーン、これが目的地の「底なし湯沼」です。健在で安堵しました。どこか神秘的な佇まいです。

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湯沼には無数の気泡が。大地のパワーがみなぎるその様子に、畏敬の念を抱かずにはいられません。
さて、ここからが本番。細心の注意を払いながら、安心安全な温泉活動を開始したいと思います。

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まずは、湯の温度の測定です。温度を確かめもせずに湯沼にダイブすることは大変危険ですからね。
湯沼は見るからに熱そうなのですが、実は42.8℃と適温。まず1つ目の危険は回避できました。

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次に地形の確認です。現場はすり鉢状の窪地でガスが溜まりやすそうな感じ。これは危ないかな?
しかし、湯沼から沢が流れ出しているので、ガスもそこから排出されるのではないかと判断しました。
それにこの日は適度に風が吹いていましたし。ガスマスクは別になくても大丈夫だと思いますね。

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でも、まだ安心はできません。実はこの湯沼には、本当に底がない、という噂があるのです。
湯が濁っているため、目視ではその深さを確かめることはできません。私はロープを持参しました。

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ロープを湯沼近くの樹木の根元に括りつけます。当然、しっかり根を張った丈夫な樹木を選びました。

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これでよし。万一、足が着かなくて溺れそうになったとしても、このロープで生還できるはずです。

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さらにはこんなアイテムも。通販で購入したライフジャケットです。これで鬼に金棒、準備万端です。

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さあ、いよいよ意を決して湯沼にダイブ!すると、確かにすぐに深くなり、足が着かなくなりました。
これはちょっと怖いかも。でも、ライフジャケットがあれば安心。わーいわーい、楽しいな~(笑)

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それにしてもこの気泡はやっぱり不気味ですねえ。なかなかはじけて消えようとしないんですよ。

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そうこうしているうちにライフジャケットにも飽きてしまった私。(←おい、それでいいのかよ!)
足の着く場所を見つけたので、そこでまったりと過ごしました。泉質は抜群、極上の野湯なんです。
もしここで溺れかけたら・・・「浮いて待て」。水難学会の先生の教えをしっかり思い出しましょう。
でも、こんな場所で浮いて待っていても誰も来そうにはないこと、私はよく分かっています・・・