のどかな風景が広がる素朴な土地に、まさかこんなにも凶暴な温泉があるだなんて、思ってもみませんでした。

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車から降りて深呼吸した私は、すぐさまある異変に気がつきました。特殊な「騒音」が鳴り響いているのです。
どんな騒音なのかといいますと、「ボコッ、ボコボコッ、グオー」って感じで、とにかくけたたましいのでした。

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規則的なようでもあり不規則的なようでもあるそのメロディーは、不思議なことに不快な音ではありません。
周囲が静まり返っているだけに、騒音の発生源は容易に突き止めることができました。ここに間違いありません。

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ワクワクしながらも、恐る恐る側溝のコンクリートブロックを持ち上げてみると・・・「うわっ、何だこれは!」
その光景があまりにも豪快過ぎて、私はニヤリとすることもなく、その場にしばらく立ち尽くしてしまいました。

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我に返って温度を測定してみると、52.8℃もありました。未利用の温泉であることはもう間違いありません。
ならば、この温泉にぜひとも入ってみたい。私の野望も「ボコッ、ボコボコッ、グオー」と湧き上がってきました。

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持参した塩ビパイプとエルボのセットを現場の源泉パイプに接続すると、これまたとんでもないことになりました。

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おかげでたらいをセットすれば十数秒でご覧のとおり。これはこれで、いつまでも眺めていたくなる光景でした。

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それにしてもこの量は本当に過激ですよねえ。周囲の住宅に供給されているのでしょうが、余ってしまうのですね。

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ちょうどいい感じでたらいに日が差し込んでいたこともあり、私にはこの光景が眩しくて仕方ありませんでした。

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本当はパイプはそのままで豪快な源泉かけ流しを満喫したいところですが、さすがに高温なのでそれは無理ですね。
渋々パイプを外して、しばらく外気にさらして湯の温度が下がるのを待ちました。湯はほぼ無色透明無味無臭です。

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待っている間、道端に咲くコスモスを眺めて過ごしました。いつの間にか、すっかり秋が深まっていたんですね。
ちなみに、その奥に見えるUFOのような物体はもうおわかりですよね。そう、しっかり源泉タワーがあるのです。

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この日は残暑が厳しく、なかなか湯の温度が下がりません。これ以上待てなくて、50.8℃で決行することに。

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あ~、ガツンと熱くて気持ちいい。凶暴に見えた温泉も、たらいに入れれば優しく私を癒してくれたのでした・・・