岩手県内には、第一弾で紹介した温泉に似た経緯を持つ野湯がもう一つあります。
 
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その野湯に向かって車を走らせていると、あらら、車両通行止め。
もっとも、車止めが脇に除けてあり、皆さん無視して通行している様子ですが。
しかし、その先を見ると、道路が未舗装に変わり、両側から伸び放題の木々が覆いかぶさっています。
私はこれより先へ車で前進することを潔く諦め、しぶしぶ歩き始めました。(今回の遠征、歩きが多すぎ!)
 
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しばらく行くと道端にこんな立派な看板が立っています。いったい誰が設置したのでしょう?
この看板の左側がその野湯へと通じる登山道の入り口。車やバイクの方も、ここからは歩きになります。
 
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その登山道ですが、最初は半藪漕ぎ状態。しかし、林間に入ると歩きやすい道に変わり一安心です。
 
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やがてこんなコンクリート浴槽が見えてきました。なぜか“ニセモノ”扱いされているこの浴槽、
湯があれば入ってやろうと思ってましたが、残念ながら空っぽでした。さらに奥に進んでいくと・・・
 
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あっ、お目当てのものが見えてきました。思わず早足になります。
 
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わあ~、これまたいい佇まいだなあ。こんな山の中で奇跡のようです。
こちらも地元の方が定期的に清掃をしてくださっているようで、実にきれいな状態です。
 
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浴槽の底には、レトロでありながら決して色褪せていないタイルが。なかなかいい味出しています。
 
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コンクリートの浴槽には源泉が静かに、しかし絶え間なく注がれています。
 
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源泉の温度は湯口で48.0℃と高めですが、湯船は適温です。
春や秋は温くなるそうですから、やはり今が入るのに適した時期なのかもしれません。
 
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う~ん、これ以上の癒しがあるでしょうか。もう何も言うことはありませんね。
この温泉ですが、さらに奥に存在した鉱山の労働者が利用したのだとか。
きっと、仕事の後の憩いの場として賑わったのでしょうね。その頃を想像しながら湯に浸かりました。
 
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目の前は一面の深緑の世界。この様子なら秋にはきっと黄金色の錦絵に変わることでしょう。
 
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この湯船、廃墟であることは間違いないのですが、そう感じさせないのは、きちんと整備されていて、
人の温もりが伝わってくるからでしょうか。そしてもう一つの理由は、一見殺風景な浴槽が年月を経て苔むして、
周囲の環境に調和して一枚の絵のようになっているからなのではないでしょうか。
温泉に浸かりながら、確かにこれは「幽玄」ということばがぴったりはまるかも・・・なんて思ったのでした。