近年、「温泉法」や「公衆浴場法」といった法律に基づく行政指導が、全国的に猛威を振るっています。
これによって閉鎖に追い込まれた温泉もあり、コアな温泉ファンからは悲鳴にも似た落胆の声が聞かれます。
和歌山県にも、ファンに惜しまれつつ閉鎖されてしまった温泉浴場があります。

民家の敷地内に立つこの建物。県道沿いにありますが、特に意識せず通過する人が多いものと思われます。
実はこの建物、以前は誰でも入浴可能な温泉浴場だったんですよ。今はドアにこんな張り紙がしてあります。

この温泉は個人所有なのですが、所有者のご厚意により、かつては一般にも開放されていました。
それが現在では、「他人の入浴」が不可能になってしまったのです。本当に残念でなりません。

建物の脇には、開放されていた時に掲げられていた看板が、文字を伏せるようにして置いてありました。
もっと早く訪れるべきだった・・・と後悔しても、もう手遅れです。私は唇を噛む思いでした。

こうなった今、所有者の方に無理にお願いしてまで入浴を乞うつもりはさらさらありません。
かと言って、このまますごすご退散するのも悔しいし・・・私は何とか現状でいい方法がないかを考えました。
すると、敷地内に源泉井戸があることが分かりました。

地面に埋め込まれたコンクリート枡には、適温の源泉が溜められています。しかし、ここに入ることは御法度。
また、たらいを脇に設置し、持参した灯油ポンプで湯を導くという方法もありますが、それは窃盗行為です。
う~ん、どうしたものか・・・

残された方法はただ1つ。私は側溝を見つめました。

側溝に流れるこの湯は、状況から判断して浴室内の湯船からオーバーフローした源泉のはず。
浴室のドアが外から施錠されていたことから、この湯は未利用のまま捨てられたものと断定しました。

しかも、この時点でもそこそこの温度が保たれています。さあ、どうする・・・!?

結局、ここで打たせ湯にて入浴しました。これは捨て湯なのだから窃盗には該当しない、と言い聞かせつつ。
果たしてここまでして入る必要が本当にあったのかどうかなんて、自分でもよく分かりませんが・・・
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