以前から課題となっていた福島県の野湯。前回チャレンジした時は、残雪により途中で断念したのでした。
本当はもっと早く再訪したかったのですが、昨夏の水害により道路事情が悪く、挑戦を見合わせていました。
 
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その野湯へと続く道。一本道なので迷うことはないそうですが、何とも心細くなってしまう道のりでした。
しばらくは舗装されているものの、途中から未舗装の悪路に変わります。私は車を降り、その先は歩くことに。
 
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道中の紅葉は見事でしたが、それを愛でる程の気持ちの余裕はありませんでした。クマが出たらどうしよう・・・
他にも路肩が崩壊していたり、大きな水溜りが出現したりと、不安要素が次々現われては行く手を遮りました。
 
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それでもめげずに進んでいくと、事前の情報の通りにコンクリート橋が現われました。道端に生い茂る草が、
そのまま橋の欄干にも途切れず連続しているので、橋を雑草でカモフラージュしたかのような雰囲気でした。
 
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あっ、道端に崩壊した建物が。その痛々しい姿は、ここが目的地であることを私に無言のまま告げていました。
 
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ネット上には、この小屋が健在だった頃の写真がいくつか掲載されていますが、もうその面影はありません。
むしろ、こんな雪深い山奥に建てられ、かつては人々に利用されていたことが奇跡のようにさえ思えました。
 
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しかし、湯小屋は朽ち果てようとしていても、源泉は今も生きているはず。よく見ると、先人が踏み分けた跡が。
ここからはかなりの急斜面を沢に向かって降下する必要があります。ロープを持参するのが賢明でした。
 
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木の枝にしがみつきながら、何とか沢に下りることができました。途中、何度も尻もちをついてしまいましたけど。
ここで私は不思議な音を耳にしました。スプレー缶を噴霧するような、シューッという音が聞こえるのです。
 
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やがてその音の発生源が足下にあることに気付いた私は、しゃがみこんで地面を舐めるように見つめました。
すると、水辺の岩盤の割れ目から、ブクブクと泡が湧き立っていることが分かりました。
 
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さらに、川底からも泡が無数に立ち上っている場所を発見。やはり源泉の湧出は今も続いていたのです。
 
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ならばここに入ってしまおうかとも思ったのですが、沢の水温は9.6℃とかなりの冷たさ。潔く諦めました。
 
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対岸に視線を向けると、石を積み上げた人工物が確認でき、そこから赤茶けた温泉が流れ出ていました。
渇水期には沢を渡って、湯船の工事ができそうですが、今回は思っていた以上に沢が増水しています。
無理に対岸に渡っても、手湯しか楽しめそうにないことは自明でした。来年きっと、また来るからね・・・