例えて言えば、たった1つのピースからジグソーパズルの全体像を割り出すみたいなことなのかもしれない。
その温泉のことを初めて知った時、そこに到達するのはきっと無理だろうって、心のどこかで思っていました。
 
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その温泉の名称も所在地も分からずに、鹿児島の地をあてもなくさまよったところで辿り着くはずもありません。
しかし、ある地方の地図を眺めていたら、そのジグソーパズルのピースに合致しそうな場所を見つけました。
自分の直感に賭けてみよう・・・そう思ってやって来たのは、住宅地の中のごく普通の民家でした。
 
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恐る恐るドアを開けると、自分の目線の高さには入ってこないような低い位置に料金箱が置いてありました。
そう、このサザエさんの貯金箱こそが、ここが私の探し求めていた温泉であるという、確かな証拠なのでした。
こちらの温泉も100円を支払うことで入浴させてもらえるのです。
 
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「無人のため協力をお願いします」と料金箱に書かれているように、普段は無人のお宅のようなのですが、
私が訪ねた時には所有者の方がご在宅でした。私が新潟からやって来たことを知り、大変驚いておられました。
そして、どうぞどうぞと笑顔で浴室に案内してくださったのです。もう感無量でしたね。
浴室は2つあり、どちらに入ってもいいですよ、とのことでした。私は手前側の浴室に入ることにしたのですが・・・
 
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これは素晴らしい!浴室は小ぢんまりとしてはいますが、湯船には新鮮な湯がなみなみと注がれています。
なおこの浴室は、もともとは横長の1つの浴室だったものを仕切りを設けて2つに分けたようです。
そう考えると、1軒の民家としてはかなり大きな浴室ということになります。
 
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源泉かけ流しのため、湯船の縁からは、常に湯が均一に床に向かって流れ出します。その光景の美しいこと。
 
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感動のあまり、ちまちま温度を測るなんてもうどうでもよくなってしまい、源泉の正確な温度は分かりません。
でも、湯船は私の好みの熱め適温でした。しかも、程よく硫黄臭が香ります。泉質も申し分ありません。
 
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湯船に身を沈めると、ザザーッと浴室の床に湯が豪快に溢れ出し、一時的な大洪水が発生。贅沢過ぎますね。
 
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この温泉に辿り着けた喜びをかみしめながら、しばらくの間、ただ静かに湯に浸かっていました。
入浴を終え、所有者の方に礼を言うと、「新潟から遠いけど、またぜひ入りに来てくださいね」とうれしいお言葉。
今回の遠征で涙がこぼれそうになったのは、この時が唯一でした。どうかいつまでもお元気で・・・