神奈川県の三浦半島まで出向いたならば、是が非でも行かねばならない場所が私にはありました。
 
イメージ 1
 
JR逗子駅から京急バスに乗って葉山町方面へ。このバス停に降り立った時、武者震いがする気がしました。
それもそのはず、これから私が目指すのはB級温泉界の大ボス的な存在の秘湯なのです。いざ前進!
 
イメージ 2
 
見知らぬ町をてくてく歩くのは楽しいものですが、この時の私はどこかそわそわしていたように思います。
いい意味での胸騒ぎでしょうか?やがて道沿いに何やら怪しげなオーラを放つバラックが見えてきました。
 
イメージ 3
 
稲龍神山スポーツランド?辺りを見渡してみても、どこにもそれらしき施設は見当たりません。はて・・・?
風雨にさらされ続けたボロ布や倒壊防止のために打ち付けられであろう木板が邪魔して全文が読めませんが、
そこには所長さんからのメッセージが記されています。文体からしてきっと優しい方なのだろうと思いました。
 
イメージ 4
 
また、すぐ隣には何だかおめでたい立て看板が。そこには所長さんとは違う名前(姓は同じ)が記されています。
この方はいったいどなたなのでしょう?併記された「自然杉林 カラオケ スポーツ 各種」も興味津々です。
 
イメージ 5
 
しかし、その看板の下部には、私が目指している星山温泉の表記が間違いなくありました。これですよ、これ。
結局これが途中で見かけた唯一の案内板でした。でも、ここからどう進めばいいかは一切書かれていません。
 
イメージ 6
 
事前に下調べをし地図を持参した私でさえ少々戸惑ってしまうほど、その温泉は分かりづらい場所にあります。
未舗装の狭い坂道を歩いている時は、本当にこの先に温泉があるのかって疑いそうにもなったのですが・・・
 
イメージ 7
 
あっ、何か見えてきました。杉木立の中にトタン製の簡素な小屋が並び、煙突から煙がたなびいています。
この光景を前にした私に、「まんが日本昔話」の世界にでも入り込んでしまったかのような衝撃が走りました。
 
イメージ 8
 
ここが神奈川県であること、今が21世紀であることをすっかり忘れてしまいそうな、強烈な雰囲気が漂います。
この廃材の山にしても、一般の人から来てはいけない所に来てしまったと思われても無理はありませんもの。
 
イメージ 9
 
ところがよく観察するとこのような看板が。不要となった木材を近隣の住民から引き取っているようです。
冷鉱泉を沸かすのに使うんでしょうね。この看板を見て、それまでの緊張の糸がほどけたような気がしました。
 
イメージ 10
 
さあ、いよいよお目当ての浴室に向かいます。この先のどこに浴室があるのでしょうか?ワクワクしてきました。
 
イメージ 11
 
営業時間は午前10時から午後6時(受付は午後5時)までとなっています。入浴料は500円とのことでした。
到着時誰もいなかったのですが、しばらくするとご主人(所長さん?)がバイクに乗って颯爽と現れました。
 
イメージ 12
 
ご主人の案内で浴室へと向かいます。途中で見かけた看板の文体から予想していた通り、温厚な方でした。
こちらのかまどで火を焚いて冷鉱泉を沸かしていることなどを、丁寧に説明してくださいました。
 
イメージ 13
 
となると、この中に浴室があるということになります。どうですか、この外観。私はもううっとりしてしまいました。
 
イメージ 14
 
浴室前の炊事場?もなかなか凄いことになっています。入浴を目前にした“煽り”には十分過ぎる光景です。
「ちょうどいい湯加減ですよ。さあ、どうぞ!」との声で我に返り、ご主人が手招きした方に視線を持っていくと・・・
 
イメージ 15
 
感動のあまり、私は思わず息を呑みました。あれが長年夢見ていた無敵のB級温泉の姿なんですね・・・(続く)