遅ればせながら、新潟県内のコアな温泉ファンの間で最近話題になっている秘湯に出かけてきました。

その温泉とは、田上町老人憩いの家「心起園」です。国道403号に設置されているこの看板が目印となります。

どうやらここのようです。これはまた斬新なデザインの建物ですねえ。かなりくたびれた感じは否めませんけど。
初めての訪問の場合、建物の中に入るのを躊躇すること間違いなし!どこか独特のオーラを放っています。

恐る恐る入口に近づくと、「入浴時間は、午前十時から午後四時までです。」と書かれた紙に気づきました。
ここに一般も利用できる浴場があり、しかも天然温泉を使用していることはほとんど知られていないと思います。
しかも、午後4時で営業終了とはちょっと早過ぎやしませんか。冬でもまだ明るい時間に終わってしまうなんて。

ここは基本的には地元の高齢者のための施設なのですが、多様な料金メニューによって町外の人にも対応。
私の場合、「町外個人」なので400円でした。町内の60歳以上の方は1,000円で1年間入り放題です。
なお、15歳以下の場合は、たとえ町内居住者であってもは利用することができません。これはユニークですね。
新潟県内には未就学児の入館をお断りしている施設なら他にもありますが、何と中学生でも入れないとは。

中には通路のようなものはなく、大広間を通って浴室に向かうのですが、これがまた摩訶不思議な空間でした。
多くの方が寛いでおられましたのでカメラを向けるのはやめましたが、仕切りのない、和洋折衷の奇抜な構造。
段差も随所にあり、お年寄りの方には結構使いづらいのでは。まさか密かにリハビリ効果を狙っているとでも?
次々に目の当たりにする光景に少々ドギマギしつつ、ようやく浴室の入口に辿り着きました。

脱衣所も年季を感じさせる造りで配管が剥き出し。掛け時計の設置の仕方も、これまたたまりませんねえ。

浴室内も配管が剥き出しになっています。でも、きれいに使われており、不快に思う点は一切ありませんでした。

浴槽にはやや黄色みがかった温泉が満々と湛えられています。塩辛く、金属臭のする濃厚な源泉にうっとり。
源泉温度が33.7℃と低いので加温・循環されていますが、湯の使い方は良好と言えます。あれ、待てよ・・・

入口にこのような掲示がしてあったのを思い出しました。「かけ流しをいじらないでください」ってどういうこと?
(しかも、湯船に設置してあった温度計は45℃近くを示していました。ま、これはドンマイということにしましょう)

実は、湯は循環されているものの、蛇口から加温前の源泉を常時投入することが可能なのです。これはいい!

しかし、ここにも理解に苦しむ不思議な注意書きが。温泉水を強く出すと湯が汚れてしまうのだそうです・・・(?)

また、万が一高齢の方が浴室で滑って転倒しそうになっても、壁のパイプにつかまることはできません。
もちろん火傷防止のためですが、こうやって自立することの大切さをそっと伝えているのかもしれません。

さらには、入浴時のお願いの看板も要チェック。左から三番目ですが、具体的な商品名を堂々と書いています。
まあ、誰にでも分かりやすく書くって、実はとても大切なことですものね。妙に納得してしまいました。

利用者はシルバーな方々ばかりでしたが、皆さん気さくで会話も弾み、楽しく入浴することができました。
「兄ちゃん、大学生かい?」というリップサービスまでいただき、すっかり上機嫌の私。心もポカポカになりました。
せっかくこんなにいい温泉なのですから、ぜひ地元の若者にももっと利用してもらいたいですよね。
例えばの話ですが、16歳の誕生日に、
「お前もようやくあの温泉に入れる年になったんだね。これで大人の仲間入りだね~」
なんて周囲の人から声をかけられる町って、とっても素敵だと思いませんか・・・
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