国道7号は新潟市と青森市を結ぶ幹線国道であり、青森遠征時には必ず利用するので私も走り慣れています。
しかし秋田県から青森県に入ってすぐの碇ヶ関地区では緊張します。歩道がなく、民家が密集しているのです。

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その民家密集地帯に1軒の旅館が立っています。いや、旅館としての営業はもう行っていないので元旅館です。

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まるで民家のような外観のこの元旅館は「あめりかや」といいます。何てハイカラなネーミングなのでしょう!
しかも平仮名書きですし。私の場合、アメリカ屋というと真っ先にジーンズショップを連想してしまいますね。

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中に入ると「お風呂へ」と書いた紙が。そうなんです。このあめりかやでは、今も温泉に入ることができるのです。

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そのお風呂へは、このような階段を下っていきます。まるで地下室に向かうような感覚で少しワクワクします。

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実はこの建物、平川という河川に面した緩やかな傾斜地に立地していて、浴室が一段低い位置にあるのです。

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浴室へと降りていく狭い通路。壁と床のユニークな色使いが鮮烈ですが、これもまたハイカラと言えるでしょう。

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そのレッドカーペットのスロープには線路の枕木のような板切れが並べられ、いい感じでB級感が出ています。

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しかし、浴室はもう見事と言うしかありません。源泉が静かにかけ流されており、極上の空間になっています。

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床も壁も浴槽もすべてタイル。これは1つの芸術作品だと言っても過言ではありません。感嘆のため息でした。

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そして女性用浴室との仕切りにはめ込まれた擦りガラスはステンドグラス風。これもまた実に瀟洒ですよね。
かつて津軽藩が積極的に西洋文化を取り入れたことから、津軽は洋館が数多く存在することで有名ですが、
あめりかやもその流れを意識した旅館だったのかもしれませんね。創業者はいいセンスをしていると思います。

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もちろん源泉かけ流しです。蛇口は開きっ放しになっていて、高温の源泉が常時湯船に投入されています。

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そのため、浴槽の縁からはオーバーフローした湯が絶え間なく浴室の床へと流れ出します。美しい光景です。

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湯の温度は45.8℃と私にとっては適温そのもの。暑い夏だからこそ熱い温泉を心から満喫したいものです。

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あ~、もう何も言うことはありません。でもね、悲しいお知らせがあります。こんなにも素晴らしい温泉なのに。

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この張り紙を見た私は絶句し、思わず俳句を詠みたくなってしまいました。心の叫びとでも言いましょうか。
僭越ながら、ここに披露させていただきますね。

「あめりかや あああめりかや あめりかや」(←あからさまにパクリじゃん)
 
(※当日は地元の方の許可を得て入浴しました。)