(第8話からの続きです)
ずっと楽しみにしていた旅があと少しで終わってしまう・・・列車を降りた後の“喪失感”を思うと気が重くなります。

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いつまでもこのベッドに寝転んでいたいのですが、そういう訳にはいきません。そろそろ身支度を始めなくては。

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共用の洗面台で顔を洗います。化粧板が木目調なので落ち着いた雰囲気ですね。身も心も引き締まりました。

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終点札幌が近づくにつれて建物が増えてきました。市街地の向こうには野幌森林公園の記念塔も見えます。

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車掌さんによる最後の放送が終わると、いよいよ北のターミナル・札幌駅に入ります。長い旅路のゴールです。

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遂に札幌駅のホームに降り立ちました。約1500kmの道のりを23時間かけて駆け抜けた旅が終わりました。
これから北海道観光が始まるからでしょうか、多くの乗客は笑顔でトワイライトエクスプレスを降りていきます。

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しかし私の場合、この列車に乗ること自体が旅の目的。達成感もありましたが、やはり寂しくなってしまいました。
おそらくこれが最初で最後の乗車になるのだと思います。時間には余裕があるので回送を見送ることにします。
まずはホームの先端まで行って、五稜郭で付け替えられた機関車を記念撮影することに。

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こうやって改めて見ると、ヘッドマークのデザインは素晴らしいですね。どこか神秘的な感じがすると思います。
JR西日本の電気機関車にもマッチしていましたが、JR北海道のブルーのディーゼル機関車にもよく映えます。

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ディーゼル機関車の側面には流星のマークが。老朽化が進んだ機関車ですが、このマークは誇らしげですね。

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第7話にも書きましたが、五稜郭から札幌まで機関車は重連。先頭車の次位にも機関車が連結されています。

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そして重連の機関車の次位には電源車。下りの青森~五稜郭間はこの車両が編成の最後尾になります。
電源車のテールマークは白く縁取られています。ダークグリーンの車体とも調和し、とても美しいと思いました。

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最後尾のA寝台個室スイートのお客さんは、夜が明けてからの北海道の雄大な風景を満喫したことでしょう。

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最後に、私が一昼夜を過ごしたB寝台個室シングルツインの部屋をホームから見つめて列車を見送ります。
コンパクトな部屋で窓も決して大きくはありませんでしたが、非日常の列車旅を存分に楽しませてくれました。
いつしか旅の同士としての絆さえ感じ始めていた私。やはりお別れするのがつらくなってきてしまいました。

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列車旅ファンの中には、寝台特急トワイライトエクスプレスのことを略して「トワ」と呼ぶ人もいます。
終わってみれば本当にあっという間だったけれど、生涯忘れられない列車の旅を心に刻むことができました。
来春で役目を終えたとしても、きっと多くの人々の思い出の世界で永遠(とわ)に走り続けることでしょう・・・(完)