ブルートレイン。シンプルでありながら趣深く、どこかほろ苦ささえ感じさせる美しい響きのことばだと思います。
かつては日本全国で活躍したブルートレインですが、来春ついに終焉の時を迎えることになりました。
青函トンネルを経由して上野と札幌を結ぶ寝台特急北斗星は、今日まで生き残った最後のブルートレインです。
大阪発の寝台特急トワイライトエクスプレスで札幌にやって来た私は、どうやって新潟に帰るかを考えました。
その結果、トワイライトエクスプレスとともに来春姿を消す寝台特急北斗星で上野に向かうことにしたのでした。
寝台特急北斗星、寝台特急カシオペア、寝台特急トワイライトエクスプレス、急行はまなす。
札幌駅4番線の頭上には夜行列車のヘッドマーク入り乗車口案内板がずらりと並び、それはそれは壮観です。
こうやって眺めると、夜行列車が全盛だった頃の古き良き時代の雰囲気がここには残っている気がしてきます。
万感の思いで北斗星9号車の乗車口案内板の真下に立ちました。上り北斗星に乗車するのは今回が初です。
トワイライトエクスプレスと北斗星をリレー乗車することになるとは、本当に夢のようだと思いましたね。
上野行き北斗星の入線時刻は17時03分。夏場ならまだ明るい時間なのですが、今の時季はもう真っ暗です。
JR北海道独特の列車接近音がホームに響き渡ると、小樽方向から燦然と輝くヘッドライトが近づいてきました。
(上記リンク先の音源では北斗星の乗り場が5番線となっていますが、現在は4番線が使用されています)
入線です。北斗星の客車を牽引するのはトワイライトエクスプレスと同様、重連の青いディーゼル機関車です。
羽田でも成田でもなく上野。LCCの台頭もあり、首都圏と北海道の移動手段として航空機が幅を利かせる今、
札幌駅で見る上野の文字は懐かしくもあり、新鮮でもあります。時代遅れと言ってしまえばそれまでですけど。
でもね、ブルートレインの旅には航空機では絶対に味わうことのできない、独特の雰囲気があるんですよ。
私の場合、列車旅の記事で口癖のように書いてきたので、皆さんは少々うんざり気味かもしれませんが。
北斗七星の描かれたテールマークと、ブルーの車体に光る赤いテールランプ。これだけでも旅情満点ですよね。
北斗星は青函トンネルが開業した1988年3月に運行を開始。最盛期には3往復が毎日走っていました。
現在は1往復のみとなり、JR北海道とJR東日本の車両による混成12両編成で運転されています。
JR北海道に所属する車両の側面には北斗星のエンブレムマークが取り付けられ、豪華さを演出しています。
ちなみに539は意味ある数字なのですが、何だか分かりますか。これは青函トンネルの長さを表しています。
貧乏旅行を得意としてきた私ですので、これまでA寝台に乗ろうという発想自体がほとんどありませんでした。
しかし、北斗星が姿を消す前に一度A寝台に乗ってみたいという思いが湧き起こってきてしまったのです。
1列車に4部屋しかないA寝台個室ロイヤルは、豪華寝台個室のパイオニア的な存在として知られます。
入手が困難でオークションでも高値が常態化しているロイヤルの寝台券を、私は正攻法で入手できたのでした。
9号車のデッキに乗り込みました。通路への扉にはA寝台の文字が。これは心が躍らずにはいられませんよね。
北斗星の9号車には、A寝台個室のロイヤル2室、B寝台個室のソロ12室、合計14の個室があります。
このうち、ロイヤル2室の部分は通路が仕切り扉で区別されているので、それだけ特別感がありますね。
ただし、あけぼののシングルデラックスに比べると、高級感という点でやや劣る感じは否めませんでした。
通路には折りたたみ式のベンチシートがありました。開放2段式のB寝台の車両ではおなじみの設備です。
個室内の窓とは反対側の景色を眺めたい時に便利なのでしょうが、これを使うことはほとんどないでしょうね。
さて、私が手にしているのは9号車1番の寝台券。果たしてロイヤルの室内はいったいどんな感じなのでしょう?
トワイライトエクスプレスの旅に続き、最後のブルートレインとなった北斗星の旅が今始まります・・・(続く)
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