(第1話からの続きです)
寝台特急北斗星のロイヤルと呼ばれるA寝台個室は、9号車に2室、10号車に2室、合計4室しかありません。
札幌から上野までの一夜・約16時間を過ごすことになるロイヤル。期待を胸に、私は個室の扉を開きました。

イメージ 1

ひ、広い!この空間を本当に終点まで独り占めしていいんですかって、正直私は戸惑ってしまいそうでした。
窓も超ビッグサイズ。それはまるで車窓という名の映画を映し出すシアターのスクリーンのようにも見えました。

イメージ 2

ベッドも広々です。なお、このロイヤルですが、別料金を支払えば補助ベッドを使用して2人で楽しむことも可能。
補助ベッドはベッドの下に格納されており、これを手前に引き出せばダブルベッドになるのだそうです。

イメージ 3

室内には小さなデスクがあり、回転式で移動可能なソファーチェアーがベッドとは別に用意されています。
このデスクとソファーチェアーがあったとしても、室内は歩き回れるほどの十分なスペースがあるのです。
テーブルの右脇に見える取っ手のついた扉はコートクローク。これは上手な空間の使い方だと思いましたね。

イメージ 4

デスクの直上には小さいながらも液晶テレビが設置されており、映画放送のサービスを楽しむこともできます。
テレビ左側のインターホンは食堂車グランシャリオにつながるもので、ルームサービスを頼む時に使用します。

イメージ 5

ところで、デスクの左側にある折戸式の扉の向こうには何があると思いますか?もちろん物置ではありません。

イメージ 6

何とシャワー室なんです。これは贅沢ですねえ。私自身、シャワー付きの個室は今回が初めての体験でした。

イメージ 7

さらにシャワー室内には折りたたみ式の洗面台もあります。洗面も歯磨きも自室で行えるので大変便利です。

イメージ 8

そしてトイレまであるんですよ。これなら部屋から一歩も出ることなく引きこもって一晩過ごすことができますね。
ただし、この形状では、男性は小さい用を足す時でも便座に座る必要がありそうです。まあドンマイとしましょう。

イメージ 9

シャワーは10分間使用することができます。オン・オフの切り替えは自由に行うことができ、温度調節も可能。
1人で使用するのであれば、就寝前と起床後にそれぞれシャワーを使用しても十分過ぎるほどの湯の量です。
シャワー室は6号車にもありますが、共用のため予約が必要でシャワーカード争奪戦への参加が必須。
ロイヤルならシャワーも洗面台もトイレも自分の好きな時間に気兼ねなく使うことができる。これは特権ですね。

イメージ 10

ロイヤルの特権はまだまだあります。シャワールーム内のこの小物入れの中に素敵なプレゼントがあるのです。

イメージ 11

そのプレゼントとは、下の棚のコップではありませんよ。上の棚にあるものこそがうれしいアイテムなんです。

イメージ 12

そう、北斗星のヘッドマーク入り特製ポーチに入ったアメニティセットです。これはいい乗車記念になりますね。
もったいないので開封せずに持ち帰ることにしました。中身はきっとあけぼので配っていたものと同じでしょう。

イメージ 13

一方タオルとバスタオルは持ち帰りは不可能ですが、部屋に備え付けがありますので基本的に手ぶらでOK!
ベッドの脇には大きな全身鏡とドライヤーまでありますから、まさに至れり尽くせりとはこのことだと思いました。

イメージ 14

シャワー室内の洗面台には電気カミソリの使用を想定したAC電源があります。個室内のAC電源はこれのみ。
スマホやデジカメ充電したり、ノートPCを使用したりということであれば、デスクの付近にあると便利なのですが。
もっとも、この車両が登場したのは今から25年以上も前のことですから、無理もないことなのかもしれませんね。

イメージ 15

全体的に設計が古く、時代遅れの感が否めないことも事実ですが、贅を尽くした機能的かつ快適な空間。
上野までの乗車で約4万円とは航空機の運賃と比べるとかなり割高な印象ですけど、でもそれでいいんですよ。
なぜなら北斗星は単なる移動手段ではなく、移動の過程自体を楽しむことが目的の列車なのですから・・・(続く)