(第2話からの続きです)
午後5時12分。寝台特急北斗星が札幌駅5番線を静かに離れ始めました。上野への夜長の旅が始まります。

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せっかくやって来た北の都・札幌ですが、約6時間の滞在でもうお別れ。でも、私にとっては札幌は旅の通過点。
これから始まるロイヤルの夜が楽しみでしたので、札幌出発の時点では感傷的になることはありませんでした。

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札幌を出発してしばらくすると、早速車掌さんが検札にやってきて、個室の使い方をレクチャーしてくれました。
鍵はカード式でこのカードキーによって施錠・解錠する仕組みになっています。カードは使用後持ち帰りが可能。
カード右下にJR東日本の表記があるのは、私の乗車している車両がJR東日本に所属する車両だからです。

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北斗星にもロビーがあります。しかし、トワイライトエクスプレスとは違い、広さは車両の約半分に過ぎません。
ロビーのある6号車にはシャワー室もあり、さらに隣の7号車は食堂車グランシャリオになっています。
そのため順番待ちで利用する人が多いようです。廃止が近づいた今、このロビーの混雑が激化してきています。
私はせっかくロイヤルが取れたので無駄に車内を移動せず、個室に引きこもって一夜を過ごしたいと思います。

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ロイヤルの乗客へのサービスの中でも私が特に楽しみにしていたのがウェルカムドリンクのサービスです!
食堂車のスタッフが頃合いを見計らって部屋まで届けに来てくれるのです。これはうれしいですよねえ。
白ワインのハーフボトル、ウィスキーのミニボトル、ミネラルウォーターのペットボトル、緑茶缶に氷も付きます。
さらに北斗星のヘッドマーク入りコースターも。欲を言えば、ワインのラベルも北斗星オリジナルだといいのに。

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夏の時季なら暮れなずむ北海道の雄大な風景を眺めながらの旅になるのですが、今の時季だと外はもう闇。
でもね、チェアーに腰掛けてワイングラスを傾け、流れ去る街や駅のホームの灯を眺めるのも悪くありません。

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まだ夜の7時前だというのに静まりかえった東室蘭駅のホーム。夜汽車に特有の侘び寂びの世界ですね。

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東室蘭を出発すると、進行方向左側にライトアップされた白鳥大橋が見えてきました。これはいい雰囲気です。
この橋は東日本で最大の吊り橋だそうです。あのレインボーブリッジよりも大きいんですね。意外でした。
(なお、私のデジカメではこんな写真しか取れませんでしたが、夜景は素晴らしいです。詳しくはこちらをどうぞ)

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またライトアップされた夜のコンビナートも見逃せません。夜汽車の車窓はどんなシネマにも勝ると思いますね。
ワインのボトルを速攻で空にした私はウィスキーに突入。マッサンの影響でしょうか、ウィスキーも進む進む!

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街並みが途切れると窓の向こうには漆黒の世界がひたすら続きます。列車は噴火湾に沿って走っているはず。
闇の彼方に見える光の点がきれいに直線を描き、漢数字の一のように見えました。あれは漁火か街灯りか。
いずれにせよ、あの光の直線の存在によって、どこまでが海でどこからが空であるのかが分かるのでした。

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ウェルカムドリンクのアルコールがなくなった後は、持参した缶ビールで引き続き北斗星の夜を満喫しましょう。
札幌駅での買い出しでチョイスしたのはやはりクラシック。これだと旅情がアップするから不思議ですよね。
なお、数量限定の2014富良野VINTAGEと北海道新幹線開業記念缶も買ってみました。いいですねえ。

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列車は伊達紋別に到着。この頃にはすっかりいい感じで酔いが回っていた私ですが、身支度を始めました。
なぜだと思います?実を言うと、私にとって“負けられない戦い”がこの後待っているのです。

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車掌さんによる放送案内により、6号車のロビーに続々と乗客が集まり始めました。私もいざ出陣です・・・(続く)