(第6話からの続きです)
寝台特急北斗星上野行きの旅もそろそろゴールが近づいてきました。最後の停車駅である大宮に到着です。

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北海道在住の方が観光目的で北斗星に乗り上京したのなら、大宮を過ぎればきっと胸が高鳴ることでしょう。
逆に東京在住の方が北海道観光を終え北斗星で帰宅するのなら、大宮を過ぎれば安堵するのでしょうね。
そのどちらでもない私の場合、胸が高鳴ることもなければ安堵することもありませんでした。当然ですけどね。
その代わりに無性に寂しくなってきました。何かが終わろうとする時、寂しさを伴うことはよくあることですよね。

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時計はもう9時を回っています。通勤・通学のラッシュのピークは一段落しているはずの時間帯です。
終着駅に降り立つと襲来する寂しさは、列車の乗車距離・乗車時間の長さに比例して大きくなる気がします。

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荒川に架かる橋を渡ります。冬の関東にしては珍しく曇天が広がり、気がいっそう滅入ってしまいそうでした。

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京浜東北線の電車が併走したかと思ったら、まるであざ笑うかのように北斗星を追い抜いていきました。
でもね、こちらは1,214.7kmもの長旅なんですよ。ゆっくりと、しかし力強く、ゴールである上野を目指します。

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ついに上野駅のホームが見えてきました。遅れることなく通常のダイヤ通りに上野駅に進入していきます。

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到着してしまいました。後ろ髪を引かれる思いで列車を降ります。急に現実に引き戻された思いがしました。

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先頭の機関車です。深夜の青森駅で付け替えられたものです。青地に金の帯が実にカッコいいですよね。

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この機関車ですが、EF510形500番台という形式であり、この塗装は北斗星色とも呼ばれています。
横から見たシルエットもスタイリッシュだと思いませんか。ちなみにシルバーのカシオペア色も存在します。

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機関車の側面にはブルートレイン牽引機の象徴とも言える大きな流星のマークが。夜汽車のムード満点です。
なお北斗星が廃止されればこの機関車は活躍の場を失い、JR貨物に転属となる運命にあると聞いています。

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自分が一晩過ごしたロイヤルの個室をホームから通路越しに眺めてみました。もう手を伸ばしても届きません。

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車両を一両一両眺めながらホームの端から端までゆっくり歩き、最後尾のところまでやってきました。
ここで北斗星が車庫に引き上げていく様子を見送りたいと思います。最後尾には作業員が乗り込んでいます。

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北斗星が到着した13番線は行き止まり式のホーム。そのため列車はバックでこのホームを出ていきます。
作業員が先頭(回送時は後方)の機関車の運転士と無線で連絡を取りながら車庫まで移動するのです。

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列車がゆっくりと動き始めました。機関車に後ろから押されながら、上野駅13番線ホームから去っていきます。
夕べパブタイムを楽しんだ食堂車グランシャリオともお別れ。何だか遠い昔の出来事のような気がしてきました。

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そして、赤いテールランプを灯した青い機関車が、流星のように自分の前を静かに通り過ぎて行ったのです。

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北斗星ロイヤルの一夜は私にとって本当に夢のような時間でした。素敵な思い出をどうもありがとう。
この冬は北斗星が夜空に輝く最後の冬。最後のブルートレイン北斗星は間もなく遠い彼方へ旅立ちます・・・(完)