(前編からの続きです)
新しいものが登場し、従来の古いものが淘汰される。そうやって文明が進歩してきたことは間違いありません。
旅情豊かな国鉄型特急の存続を嘆願したところで叶うはずもないことは、もうとっくに分かっていました。
私にできること。それは特急北越の最後の力走を、車内で静かに見守ることでした。ビールで一杯やりながら・・・
長岡に到着しました。かつて北越急行開業前、ここで新幹線からの乗り換え客が大量に乗り込んできました。
東京と北陸地方を結ぶ大動脈として、特急北越号が一番光り輝いていた時代だったように思います。
長岡を過ぎると、乗車記念カードの配付が始まりました。これはラストランとなる3月13日限定の図柄です。
同じくこの日ラストランを向かえた特急はくたか号の車内でも、これと同じカードが配られたみたいです。
直江津ではJR東日本からJR西日本の乗務員へバトンタッチ。毎日見られたこの光景も見納めとなります。
なお、直江津で下車するお客さんが結構たくさんいました。その理由はだいたい察しがついていますけどね。
ここか次の糸魚川で下車すれば、折り返して下りのラストランとなる北越9号新潟行きに乗車できるのです。
糸魚川到着直前のデッドセクションでは車内の照明が消灯。北越はこの儀式が体験できる最後の特急でした。
糸魚川駅のホームの柱には「ありがとうJR北陸本線、こんにちはえちごトキめき鉄道」と書かれたテープが。
新幹線と引き換えに失われるものは大きいはずですが、前向きに新鉄道を迎えようという気持ちが伝わります。
その後、富山県に入ってからの各駅でも、北越の最後の雄姿を見届けようという多くの人々が待っていました。
そしていよいよ終点の金沢が近づくと、車掌さんによる思いの詰まった感動の車内アナウンスが行われました。
遂に終点金沢に到着しました。ここでも大勢の人々に出迎えられました。万感の思いでホームに降り立ちます。
北越10号が到着してすぐ、ホームでは記念セレモニーが始まりました。まずは駅員さんが横断幕を披露。
そして記念の花束の贈呈が。授与されたのは最後の乗務を無事終えた車掌さんでしょうか。ご苦労様でした。
花束の贈呈式が終わって関係者が引き上げ始めると、ホームはようやく少しだけ落ち着きを取り戻しました。
それでもホームにはまだまだ多くのお客さんが残っています。回送列車として出ていく北越を見送るためです。
回送の表示ではなく、北越のヘッドマークのままで列車は出発。運転最終日ならではのサービスでしょうか。
こうして北越は闇の彼方へと走り去っていったのです。この時、私はあるフレーズを思い浮かべていました。
「列車は去れど想いは消えず、いつまでも。」・・・このコピーが私の気持ちを見事に代弁してくれていました。
そして、「剣そびえる北越に、輝け白鷹、浅間の先へ。」 特急北越号、今までたくさんの思い出をありがとう・・・
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