(第3話からの続きです)
寝台特急北斗星は、JR東北本線からIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道線に入り、青森へと北上していきます。
私は頑張って起きていて八戸駅を通過するのを確認した記憶はあるのですが、その後眠ってしまったようです。

ただし列車が青森駅に到着した時には一度目が覚めました。でも、眠気に勝てず再びすぐ眠ってしまいました。
実は臨時列車となった北斗星は、深夜の青森駅で何と2時間以上も停車するんですよ。時間調整のためです。
上野発の時刻が早まったための措置ですが、私はこれでいいと思います。だって、その分長く乗れますから。
おかげで暮れなずむ関東平野の景色も楽しめましたし。列車が青森を出発した頃、空が明るみ始めました。

寝不足ではありましたが、私は起きて景色を楽しむことにしました。ここから先の車窓は見逃せないからです。
青森からJR津軽線に入ってしばらく進むと、進行方向右側に陸奥湾が見えてきます。穏やかな姿ですね。
あいにく雲があって、日が昇る様子を見ることはできませんでしたが、その美しさに思わず息をのみました。

蟹田に運転停車しました。ここから先はいよいよ海峡線に入っていきます。この先も車窓から目が離せません。

この時間なら空いているだろうと思い、私はロビーカーに行ってみました。でも早起きの方が何人かいました。
あらら、ソファーで寝ている人がいます。きっと開放式B寝台の上段のお客さんだと思います。困りましたねえ。

やがて進行方向左側に北海道新幹線の高架が見えてきました。その手前には非電化のJR津軽線の線路。
この付近の新旧の線路のアクロバティックな立体交差の様子も、見所の1つと言えると思いますね。

北斗星にとって最後の本州内の駅となる津軽今別を通過。ここはまだ青森県ですが管轄はもうJR北海道です。
ここに来春「奥津軽いまべつ」という新幹線の駅が誕生します。そのための工事が、今急ピッチで進行中です。
なお工事に伴い、8月10日から当面の間、津軽今別駅はすべての列車が通過することになりました。

さあ、いよいよ青函トンネルに突入です。その決定的瞬間をどうにかこうにか撮影することに成功しましたよ。

青函トンネルの走行シーンをロビーカーで楽しみたいと思っていたお客さんは、私の他にも結構いましたね。
上野から夜通し走ってきて青函トンネルをくぐり抜け、遂に北海道入りするという感動は北斗星ならではです。

トンネルを抜けました!いよいよ北の大地を踏みしめます。いや、実際は車内にいるんですけどね。
霧が発生しているようで眺望が遮られてしまいましたが、それでも北海道だと思うと景色が違って見えます。

そしてすぐさま旧知内駅構内を通過。ホームは完全に撤去され、跡形もありませんでした。今は信号場です。

木古内駅が見えてきました。ここも来春新幹線の停車駅となります。もう駅舎はほぼ完成したみたいですね。

青函トンネルを抜けた後、私はロビーカーから11号車に戻ったのですが、まだ多くのお客さんが寝ていました。
カーテンが閉まったままの寝台車の朝の雰囲気も結構好きなんですよね。独特の風情があると思いませんか。

木古内からはJR江差線の線路を走行しています。単線で、海岸に沿ってきついカーブが連続する区間です。
青森で進行方向が逆になったので、私の乗車している11号車は最後尾になっています。ほら、分かりますか?
先頭に見える機関車の色が青から赤に変わっていますよね。深夜の青森で機関車の交換が行われたのです。

海に突き出した函館山が見えてきました。雲が垂れ込め、まるで山頂がベールに包まれているみたいですね。
間もなく函館に到着します。でも11号車では、降車の準備を始める人はほとんどいませんでした・・・(続く)
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