去年の秋に長野県をドライブした際たまたま見かけた温泉のことが、心のどこかでずっと気になっていました。
その温泉の佇まいは、飼い主に見捨てられ道端に置き去りにされた、哀れな子猫のようにも感じられたのです。

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いつかきっとまた来るからおとなしくここで待っていてね・・・そんな思いで1年ぶりに現地を再訪してみることに。
すると、その温泉は去年と少しも変わらない姿でそこに居座っているではありませんか。安堵しましたね。

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すぐ側の斜面にある源泉枡も特に大きな変化はないように見えます。あれからずっとこのままだったんですね。

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現場には看板等は一切ありません。でも、「心優しい方、ぜひもらってください」というメッセージを感じたのです。

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もっとも、すぐ脇にはブラシが置かれていることから、洗い物をするために定期的に訪れる人がいるみたいです。

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私は捨てられた子猫を抱き上げるかのように、たらいをパイプの直下に置き、源泉をしっかり受け止めました。

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それにしても塩ビパイプの高さが絶妙ですねえ。まるでここにたらいを置くことを想定しているように思えました。

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源泉の温度はアツアツの48.8℃です。この温度ですので、未利用のきれいな源泉であることは確実でしょう。

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たらいに湯が溜まっていきます。こういう光景を眺めている時、いつも私は我をつい忘れてしまうんですよね。

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現場は緩い斜面になっているのでたらいも少し傾いてしまっていますが、これは十分許容できる範囲内です。

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さあ、たらいから湯がこぼれ始めました。もう日が傾きかけています。ここで躊躇する余裕はありませんでした。

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あ~、念願成就です。でも、これではまるで、私自身がたらいに入れられて捨てられた“ドラ猫”みたいですね・・・