(第3話からの続きです)
苫小牧を出発すると、急行はまなす号の寝台車内では眠りに就く人の数が増え、静寂が支配し始めました。

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それでも頑張って闇夜の車窓を楽しんでいる人もいますね。こうやって物思いに耽るのも確かにいいんですよ。

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登別のホームに静かに停車しました。北海道を代表する温泉地の1つの玄関駅ですが、人の姿はありません。
時刻は23時35分を過ぎています。正直言って、停車する必要があるのかどうか疑問を感じる駅でもあります。

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そして23時50分過ぎに東室蘭に到着。当然ですが、私の乗車している2号車では乗客の出入りはありません。

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電光の出発案内板には「急行はまなす」の文字が燦然と輝きます。「急行」という種別の表示もうれしいですね。

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自由席からは結構な数の乗客が下車したようです。名残惜しそうにすることもなく、足早に改札へ向かいます。

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それもそのはず、急行はまなすには自由席の設定があるのです。札幌から室蘭への帰宅に便利なんですね。
なお、地元からの要望により、はまなす廃止後は、札幌を22時に出発する特急すずらんが運転されています。

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東室蘭を出発してすぐ、日付が変わりました。車内には規則的な走行音が、優しい子守唄のように響きます。

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もう通路のベンチには誰もいなくなりました。廃止間際とは思えないほど、車内はしーんと静まり返っています。

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私はまだ眠くなかったので、寝台内で引き続き闇夜の車窓を楽しむことに。いわゆる、“乗り鉄の闇鉄”です。

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室蘭の工場群や港湾施設のネオンが、光線のように窓を右から左へと流れていきます。実に美しい光景です。

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市街地を離れて噴火湾沿いに出ると、海上にはこれまた実に美しい月が。私は思わず息を飲み込みました。
写真ではよく分からないのですが、3月にしては穏やかな太平洋の波間を月が照らし、本当に幻想的でした。
線路が海に沿って円を描いているので、月はずっと横に見えています。はまなすを追いかけるように・・・(続く)