(第4話からの続きです)
急行はまなす青森行きは、深夜の伊達紋別・長万部に停車した後もひたすら噴火湾に沿って南下を続けます。
私は夜の海を照らす美しい月を眺めながら、こんなにドラマティックな旅があっただろうかと酔いしれていました。

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しかし、大沼を過ぎ、函館の夜景が近づいてきたことまでは覚えているのですが、その後眠ってしまいました。
目覚めたら、函館駅での機関車の付け替え、青函トンネルへの突入もとっくに終わり、青森県に入っていました。

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せっかく寝台車に乗ったのですから、少しぐらいは眠ろうと思ってはいましたが、まさかの熟睡に思わず苦笑い。
でも、不思議と心は穏やかでした。最後の急行列車に揺られて眠ったことは、大切な思い出になることでしょう。

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進行方向左側に、今度は陸奥湾が見えてきました。雲が垂れ込めていますが、もうすっかり春の海の様相です。

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他のお客さんも起き出して、通路のベンチに座って朝の車窓を眺めています。皆さんはしっかり眠れたのかな。

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途中の有名なお立ち台には、何人かの取り鉄さんがスタンバイしていました。朝早くから本当にご苦労様です。
3月に入り、真冬の頃に比べて夜明けが早くなったので、朝の走行シーンを撮影できるようになりましたからね。

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青森平野に入ると、進行方向右側に木柵が連続し始めました。真冬にはしばしば地吹雪が発生するのでしょう。
急行はまなす号は、湿度の高い青函トンネル、潮風の吹く海辺、そして冬の厳寒な気候を走り続けてきました。
当然車体は傷み、外装は痛々しいほど無様なのですが、でもそれは逆に勲章であるかのような気もしますね。

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青森車両センターが見えてきました。急行はまなす号とともに姿を消す、特急スーパー白鳥・白鳥が見えます。

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振り返って眺めると、特急つがるや快速リゾートしらかみ(ブナ編成)も待機しています。これは賑やかですね。
青森車両センターの最後の華やかな姿と言えます。今後はきっと「兵どもが夢の跡」の状態になることでしょう。

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終点・青森駅に到着です。北斗星やカシオペアに比べると乗車時間が短いとはいえ、乗り応えのある旅でした。
でも、やはりまだまだずっと乗っていたかったです。実は以前、秋田まで延長運転されていたことがあるのです。

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青森は本当に夜行列車がよく似合いますね。上野発の夜行列車が無くなった今、はまなすは最後の砦でした。

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青森駅の跨線橋には、急行はまなす号へのメッセージボードが登場。人々の思いで埋め尽くされていました。

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そのメッセージを読んだり、回送列車として車庫に引き上げていく姿を見たりして余韻に浸りたかったのですが、
この日は昼から新潟で用事があるため、新青森6時49分発のはやぶさ8号に乗車しなくてはなりません。
そのため、新青森行きの普通列車に飛び乗って、その車内から急行はまなすにお別れすることになりました。

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B寝台ではあるけれど、極上の一夜を過ごすことができたことに感謝。ありがとう、急行はまなす号・・・(続く?)