(第3話からの続きです)
特急スーパー白鳥19号は、北海道に入って最初の停車駅である木古内のホームに滑り込んでいきました。
しかし、ホームに人影はほとんどありません。ラストランの日とはいえ、最終列車でないとこんなものなのかな。
それでもホームの柵には、「さよなら はまなす 白鳥 スーパー白鳥 今までありがとう」と書かれた横断幕が。
簡素な造りではあるけれど、これらの列車への惜別の意が伝わってきました。やはり今日で最後なのですね。
木古内を出ると、再び進行方向右側には、津軽海峡の雄大な眺めが展開します。対岸は大間の辺りでしょう。
列車の交換のために運転停車した駅の車窓を眺めていたら、線路の脇にふきのとうをたくさん見つけました。
春は北東北から津軽海峡を渡り、もう道南にも辿り着いていたのですね。何だかジーンと来てしまいました。
交換したのは上りのスーパー白鳥38号新青森行きです。毎日のこの交換シーンも、この日が最後になります。
いよいよ車窓のハイライトシーン、函館湾に浮かぶ函館山が見えてきました。夕暮れ時で、実に美しい姿です。
分かりますか?函館山の上空に白い月が見えます。私は急行はまなすから見た幻想的な月を思い出しました。
その函館山がグングン近づいて、日没時刻が迫る頃、列車は遂に終点の函館駅の構内へと入っていきました。
なお函館駅の到着直前、車掌さんによるお別れアナウンスが行われました。とても感動的なアナウンスでした。
まだこの後にも3本、スーパー白鳥が到着するからでしょうか。ホームでは特別な出迎えはありませんでした。
北海道新幹線が開業しても、函館駅には函館と札幌を結ぶ特急スーパー北斗・北斗号が出入りを続けます。
だから、青森駅ほど活気が失われることはないと思うのですが、すでにホームからは売店が撤退しています。
やはり、本州直通列車が消えるということは、青函連絡船が廃止された時と同様の大きな変化になりそうです。
乗客を降ろした列車が、回送としてゆっくりとホームを引き上げていきます。赤いテールランプが悲しげですね。
一方、6番線では、白鳥96号新青森行きが出発の時を待っていました。特急白鳥のラストランとなる列車です。
白鳥のラストランを見送ろうと、ホームには多くの見物客が集まっています。しかし、特別なセレモニーはなし。
新青森駅に掲示されていたようなメッセージボードもなければ、横断幕も見かけませんでした。味気ないですね。
厳しい経営を強いられているJR北海道のことですから、新幹線の開業をPRする費用はねん出できたとしても、
消え去る列車に対して特別な予算を付ける余裕はなかったのかもしれません。現実は厳しいですね・・・(続く)
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