(第5話からの続きです)
派手なセレモニーがないのなら、消えゆく列車を静かに見届けたい。私はいつしかそんなことを考えていました。
歴史には必ず転換期というものが存在します。そして、その転換が特に劇的だった場合を革命といいます。
北海道と本州が連絡船で結ばれたこと、青函トンネルが開通したこと、そして北海道新幹線が開業すること。
それは間違いなく交通革命であり、地元の悲願だったはず。ビールを飲みながら、私はしみじみと思いました。
新幹線なんかよりも旅情が感じられる在来線の列車の方が断然いいのに・・・なんて、マニアの勝手な考えです。
二度と戻らない日々を嘆いてばかりいては前へは進めません。私もいい加減、吹っ切らなくてはなりませんね。
ところでスーパー白鳥の座席には、このようなステッカーが貼ってあります。青函トンネル通過予定時刻表です。
私が乗車している特急スーパー白鳥98号は、20時19分ごろに青函トンネルの北海道側入口に突入します。
青函トンネルに入りました。壁の照明が光の矢のように、車窓を左から右へと次々に流れ去っていきます。
20時30分頃にはトンネルの最深部に達し、20時42分頃に本州側の出口に至るのですが、ここで感動が。
JR北海道の社員の皆さんがトンネル出口で待っていてくれて、ペンライトで盛大に見送ってくださったのです。
そして、JR北海道の車掌さんが下車する蟹田到着直前には、これまた感動的なお別れのアナウンスが。
その内容は函館行きのスーパー白鳥で聞いたものとほぼ同じでしたが、私は再度じーんときてしまいました。
期待していた記念乗車証の配付がなかったのはちょっぴり残念でしたけど、とてもいい思い出になりましたね。
蟹田からはJR東日本の車掌さんが乗車し、いよいよラストスパートです。21時23分、青森駅に到着しました。
ホームでは横断幕を持った駅員さんがお出迎え。ようやくラストランらしい光景に出合い、泣けちゃいそうでした。
思い出せば、寝台特急日本海号のラストランの時も、横断幕を持った駅員さんが出迎えてくれたんですよね。
青森ってやっぱり人情の深い土地だなって改めて実感した私。早くまた温泉に入りに訪れたいと思いました。
さあ、遂に新青森に向けて出発です。青森駅のホームからスーパー白鳥が出ていくのはこれが最後となります。
JR東日本の車掌さんによるアナウンスはいつも通りといった感じで、あっけなく終点新青森に到着しました。
青森駅の賑やかさにとは対照的に、新青森駅のホームは人の姿も多くなく、寂しい幕切れとなってしまいました。
君が果たした役割は、間違いなく日本の鉄道史にしっかりと刻まれているからね・・・私は心の中で呟きました。
(追記)
この日、もう新潟へ向かう列車はありません。また、私は青森に宿も取ってはいません。さあ、どうなる!?
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