(第8話からの続きです)
深夜の函館駅で毎日行われてきた急行はまなすの機関車の付け替え作業。それもこの日が見納めとなります。

当然のことながら、機関車付近には大勢の人が集まりました。これではまともな写真は撮れそうにありません。

案の定このありさま。このホームの札幌寄りは幅が狭くなるのですが、幸い大きなトラブルはなかったようです。

なお、函館から札幌までを牽引する青いディーゼル機関車も重連。ラストランにふさわしい、豪華な態勢です。

はまなすの途中停車駅で、ホームに降りてゆっくり過ごせるのは函館のみ。皆さん思い思いに過ごしています。

おっと、こちらは熱烈なファンの方が作成した電光サインボード。車内からホームに移動して絶賛展示中でした。
こうやってじっくり眺めると、本当によくできていますよね。どうやら作者はネット上では有名な方のようでした。

さあ、そろそろ出発の時間が迫ってきました。車内に戻って、再び急行はまなすの最後の力走を楽しみましょう。

函館を出ると指定席車でも眠りに就く人が増えました。話し声に代わり、寝息があちこちから聞こえてきます。
なお、函館出発時点で横並びで空いている席があり、車掌さんの許可を得てそちらへ移動させてもらいました。

こうして幸運にも窓側の席に座ることができたので、眠らないでこのまま車窓を存分に楽しみたいと思います。
路線に詳しい方は分かると思うのですが、七飯を過ぎると、はまなすは「藤城線」と呼ばれる支線に入ります。
この藤城線を進む時、線路が高架式になって高度をグングン上げていくのですが、これが実にいいんですよ。
はまなすでは、街の灯を下に見ながら、夜空に向かって列車が進んでいくかのような感覚を楽しめるのです。

北海道新幹線開業前は、函館から札幌方面へ向かうすべての特急・急行はこの藤城線を経由していました。
新幹線接続駅である新函館北斗駅は本線上にあるため、今後藤城線を走行する列車は激減してしまいます。
(上の地図では「渡島大野」となっていますが、そこに新幹線駅が建設され駅名も新函館北斗に改称されました)

さあ、次の楽しみは真夜中の噴火湾です。暗闇に浮かぶ真横一文字の光の列、あれは何だか分かりますか?
漁火です。これまた幻想的な光景ですよね。数日前、上りはまなすに乗車した時には見られなかったはずです。
出漁時間の関係から、この光景は下りのはまなすでしか見ることができないのかもしれません。素晴らしい!

満席の状態で窓側席に座っていると、トイレに行くのも一苦労なのですが、通路側が空席なのでそれも楽々。
寝台車の洗面所は自動水栓なのに、座席車は昔ながらの使いにくい手動式。これもまた懐かしかったです。

未明の東室蘭に到着。下りはまなすの乗客のために、みどりの窓口が早朝から開いている駅として有名でした。
営業開始は何と早朝4時で、これは全JRの駅の中で日本一だったのです。これももう、過去のものになります。

東室蘭を出ると、東の空の色が少しずつ変わり始めました。早春の北の大地に、朝が訪れようとしています。
その光景が実に神秘的で、心を奪われます。まるでオーロラのようでもあり、白夜のようでもありました・・・(続く)
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