(前編からの続きです)
正木温泉の激渋さに、ある種のカルチャーショックを覚えた私。こんな温泉が現役だとは奇跡だと思いましたね。
脱衣所もまた期待を裏切りません。ここでも手書きによる掲示物のオンパレードでした。とにかくおんぼろです。
脱衣場内には照明も完備。裸電球が郷愁を誘います。これもきっとご主人の手仕事によるものなのでしょうね。
いよいよ服を脱いで浴室へ向かいます。今思えば、入浴前にこんなにも胸がときめいたのは久しぶりでした。
この先の右側のドアを開けるとそこが浴室です。仕切りには隙間が多く、ちらっと見える感じがたまりませんね。
おお~、これは素晴らしい!ほぼ正方形をした湯船に、この界隈によく見られる茶色い湯が満たされています。
湯を桶に汲んでみるとちょっと薄い印象を受けますが、本当に美しい色をしています。効能も高そうですよね。
ただし、源泉投入は微量。湧出量そのものが少ないのだと思います。湯の鮮度については残念な印象でした。
なお、源泉の温度が低いので加温されています。きっと燃料代もバカにならないでしょうね。大事に使わねば。
ところでこのモノクロのタイルはちょっとしたアートだと思いませんか。でも、よく見たらタイルは白の部分だけ。
黒の部分はコンクリートが剥き出しなんです。これはまたうまいこと処理しましたね。レトロな雰囲気なのもグー。
浴槽の仕切りは結構高く、お年寄りには少々きついかもしれません。浴槽内の階段にもまた注意が必要です。
洗い場も激狭。しかも、マットが大量に立てかけられていて結構邪魔です。これは湯船の蓋として使うのかな?
浴室内にも手書きの掲示物が多数。でもね、ご主人がこの温泉に惚れ込んでいることはよく伝わりましたよ。
「浴槽水の水は絶対にくみださないで下さい 絶対に絶対に シヤアワーが有ります」・・・微笑ましく思えました。
ただ、ちょっと気になったことが。外の看板(前編参照)にも、浴室内の掲示にも「療養」と謳われていますが、
分析表には「療養泉には該当しないので泉質名はない」と明記。無情な気もしますけど、まあどうでもいいか。
この窓の形も傑作ですね。わざわざカットしたベニヤ板を張り付けて、この独特な形状の窓にしたようなのです。
円の中に二重線というのが正木温泉のシンボルマークみたいですね。外の看板にも大きく書いてありましたし。
貸切状態で静かに湯浴み、と思ったのですが、浴室内にはご主人が見ているテレビの音が大音量で響きます。
いろいろな意味でインパクトの大きかった正木温泉。もうすっかり虜になってしまいました。どうかいつまでも・・・
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