(第3話からの続きです)
ひばり健康ランドの“世界観”に触れた私は、何だか自分が恥ずかしくなってきました。それはどうしてでしょう?
こんなにも堂々と変な日本語の看板を掲げるその姿勢に、簡単には屈しないという一種の哲学を感じたのです。

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私がいちいち言葉尻を捉えてみたところで、相手は決して揺るがない。自分はちっぽけな人間だと思いました。
それに、こちらの温泉は、高齢者や幼い子どもに優しい、思いやりのある施設だということも分かってきました。

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例えばこの看板。高齢者を大切にしようという思いがひしひしと伝わってきます。でも、よく読むと笑えちゃう。
「少しでも気分が悪くなったらスグ横になって30分の休憩をしましょう」・・・どうして「スグ」だけカタカナなの?
「倒れて湯船の中に沈むと大変なことになります」・・・そりゃそうでしょ!親切なようでいて、とてもブラックです。

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また、小さな子ども向けにこんな場所が設けられていました。「お子さまの水足風呂」だそうです。珍しいですね。
「子供のための・・・水でストレス発散」・・・確かに、今の時代、大人だけでなく子どもにもストレスはあるでしょう。
ここでバシャバシャと豪快に水遊びをすれば、きっとすっきりするに違いありません。しかし、続きを読むと、
「水の中ではふざけ遊び禁止です」・・・えっ、それだとかえって子どもにストレスが溜まるのではありませんか?
「ひばりやうぐいす等小鳥の水飲み場所。(上水道、飲料OK)」・・・子どもを小鳥に例えるのは分かりますが、
ここでは子どもたちが足を付けた水を飲んでも大丈夫ということ?う~ん、これは理解に苦しみますねえ。

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なお、大人用の水風呂もあるのですが、ここにもこんな看板が。私にはこの水を飲む勇気はありませんでした。
もっともこれは、湯船の水も飲めますよ、ということではなく、飲んでも大丈夫なきれいな水を入れた風呂ですよ、
ということが言いたいんでしょうね。結局ここでは、文章をどう解釈するか、その力が問われている気がします。

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次は露天風呂へ行ってみましょう。岩風呂でなかなか風情がありますが、屋根の4本の柱がとても邪魔です。

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この露天風呂では眺望を楽しむことはできません。視界に入ってくるのは、ここでもやっぱり看板なんですよ。

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ここにも子どもの健やかな成長を願う看板が。温湯に浸かることで得られる教育効果にまで言及しています。

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露天風呂でも子どもが遊ぶことは禁止されています。この温泉では、子どもはじっとしているしかないのです。

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クールダウンコーナーもあるのですが、このスペースも何だか変てこな空間でした。仏像や灯篭があります。
そしてグループ会社の広告看板も。一連の摩訶不思議な看板は、この会社が製作しているものと思われます。

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露天風呂の柱の1本に据え付けられていた下の看板が、またまた傑作でした。以下に全文を掲載しましょう。

 1.大衆浴場、当温泉は薬効証明通り良い温泉。
 2.大切なお体を健康で長生きの天然薬湯。
 3.一回目に浴槽に入る前、必ず足・下半身を洗い場でよく洗ってから入浴することを常々お願いします。
   他の方に見られても模範になるようなマナーを大切にし、遵守しましょうね。
 4.タオルを湯船に入れるとせっかくの湯が汚れます。タオルを絶対に入れないようお願いします。
   協力ありがとう!!
 5.入浴中、湯船の中で手のひらで身体を洗う事は許せませんね。みなさんも見ていますよね。
   掛け流し湯が汚れますので、清潔を考え気持ち良く、気分良く入浴しましょうね。悪いことは止めよう
   止めさせるべきですよね。

単なる温泉の紹介のはずが、後半は入浴者への熱い訴えにエスカレート。この劇的な転換がもうたまりません。

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露天風呂の湯船にも、源泉がドバドバと注がれています。内風呂より湯船が小さいので、湯の鮮度は良好。
ツルツル感があって泉質は申し分ありません。多くの温泉ファンが絶賛していますので、これは間違いなしです。

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いや~、ここは本当にパラダイスですね。いや、パラダイスというよりもヘブンでしょうか。“Go to heaven!”
みなさんも一度行ってみませんか?なお、“Go to heaven!”をどう解釈するかはあなた次第です・・・(完)