9月30日のことです。どうにかこうにかスケジュールを調整し、私は慌てて山形県最上地方へと向かいました。

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やって来たのは赤倉温泉。素朴でのどかな温泉地です。その赤倉温泉の最も奥地にあるのがこちらの建物。
「第一貨物赤倉保養所」です。第一貨物というのは山形市に本社がある運送会社。その保養所という訳です。

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正式には「赤倉荘」というようです。このプレートの字体、なかなかクラシカルでいいですよね。気に入りました。

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敷地内にはこのような小屋が。源泉小屋だと思われます。井戸なのか、中継装置なのかは分かりませんでした。

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ありがたいことに、この保養所は一般にも開放されています。つまり第一貨物の従業員でなくても利用できます。
私も以前訪問したことがあるのですが、その時は宿泊客で混んでいるとのことで丁重に断られてしまいました。
いつかリベンジしよう。そう思っていたのですが、何と9月30日をもって閉館してしまうことが分かったのです。

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最終日なので、惜別入浴の人々で大混雑しているかもしれないという不安がありましたが、意外にもガラガラ。
日帰り入浴をお願いすると快諾でした。これで一安心。建物は古いですが、手入れがよく行き届いています。

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ちなみに日帰り入浴料はたったの300円。これは格安だと思います。「保養所日課」というのがまたいいですね。

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浴室は玄関から最も遠い建物奥にありました。玄関に外来客の靴が一足もなかったということはまさか貸切?

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うわ~、これは素晴らしい!古き良き昭和の雰囲気がそのまま残されているではありませんか。感動的でした。

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洗い場は2つしかありません。そのためやや広めの家族風呂という感じもします。壁のタイルが見事でした。

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源泉は不思議な形の湯口からコンコンと投入されています。観察してみると、冷水と混合して注がれていました。
源泉が高温なので、これはやむを得ない措置でしょうね。加水を中止することは、ここではできないようでした。

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湯船からは湯が静かに浴室の床に流れ出します。その美しい光景に、私はすっかり魅了されてしまいました。

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湯は無色透明なのですが、床の湯の通り道のタイルが茶色に染まっています。それだけ成分が濃いのでしょう。

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逸る心を抑えつつ湯船にドボン。湯船もタイルで昭和感全開です。深さも十分で、肩までしっかり浸かれました。
しかし、最終日にまさか貸切とはね。もうきっと二度と入ることはできないので、ここに長居させてもらうことに。

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湯船に身を沈めると、大量の湯が床に溢れ出し大洪水が発生。2・3人が一度に入ったら大変なことになりそう。

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誰もいないことをいいことに窓を開け放ってみました。絶景という訳ではありませんが、半露天風呂に変身です。

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帰り際、管理人さんに「この建物は今後どうなるのですか?」と聞いてみたら、「壊すんじゃないかな」との返答。
こんなに素敵な温泉なのに本当にもったいないです。今まできっと多くの人を癒したことでしょう。さようなら・・・