昔読んだことのある、東北地方の火山についての学術論文に添えられていた図がずっと気になっていました。
もうかなり古い論文なのですが、その図には、国土地理院の地形図にはない温泉マークがいくつもあるのです。

今回意を決して現地調査を敢行することにした私。開始早々、見るからに怪しげな地面の変色を発見しました。
しかも地面からうっすら湯気が立ち上っているではありませんか。当然、反射的に駆け寄ろうとしたのですが・・・

実はこの一帯は湿地帯。不用意に前進すると、足がずぶずぶと地面に沈み、最悪抜けなくなってしまうのです。
もちろん、私は長靴を履いていましたが、あわや長靴がぬかるみにはまって身動きが取れなくなりそうでした。

それでもめげずに探索を続けていると、目の前に突如予想もしなかった“獲物”が出現。これには驚きましたね。
ボコボコと湯が自噴しています。もしかしたらこの一帯には、こんな場所があちこち多数あるのかもしれません。

目視によると、この小さな湯沼には適度な深さがあり、一人で浸かるのにちょうどいいサイズと言えそうです。

しかし、残念なことに湯の温度が55.6℃と高いため、このままこの湯沼にダイブすることはできませんでした。

かといって、この湯沼から流れ出す小川で入浴というのも気が引けます。泥まみれになるのは明らかでした。

やはりここはたらいで入浴するしかなさそうです。ぬかるみにもがきながらも、ちゃんとここまで持ってきました。

なるべく地面が固く、水平な場所を選んでたらいを設置。ここなら大丈夫そうです。さあ、作業を開始しましょう。

たらいと一緒に持ってきた折りたたみバケツで湯を汲みます。一見、ほとんど色付きのない湯のようですよね。

ところが、小さな湯沼もたらいの湯もやがて赤く染まってしまいました。空気に触れたので変色したのでしょう。

しばらくたらいを放置して、湯が適温になるのをひたすら待ちました。その結果、48.3℃にまで下がりました。

湯の表面には薄い油膜が。アブラ臭はわずかにする程度ですが、相当濃厚な源泉であることは確実ですね。

では、早速入ってみましょう。こうやって豪快にたらいから湯を溢れさせて入るのは、本当に快感なんですよね。

たらい入浴を楽しみながら周囲をよく観察してみると、他にもあちこちの水たまりで気泡が立っているのを発見。
こんな感じで源泉湧出地点が無数にあるなら、全体として温かい湿地帯が形成されてもおかしくはありません。

ところで、たらいでしっかり肩まで湯に浸かろうとすると、必然的に両足をたらいから出さなくてはなりません。
しばらくこうやってのんびり過ごしてた私。この後、両足がアブアタックで大変なことになるのでした・・・(続く)
コメント