(前編からの続きです)
冬は凍てつく北極海沿岸のツンドラの大地も、夏になれば地面がぬかるみ、蚊やハエが大発生するといいます。

比較的地面が固そうな場所は藪となって歩行が困難。一方、藪のない場所は水浸しでこれまた歩行が困難。
しかも、蚊やアブが大発生しているとなれば、それはもう地獄そのもの。夏のツンドラに似た過酷な状況でした。

でも、未知なる源泉がきっとまだあるに違いない。そう思うと、不思議と全身にパワーがみなぎってくるのでした。

ぬかるむ地面に行く手を阻まれては立ち止まり、そしてまたゆっくりと前進。これを何度繰り返したことでしょう。

もう引き返したいと思い始めたその時、ブクブクと湯が湧き出しているひょうたん型の小湯沼を発見したのです。

温度を測定してみると、42.5℃いう超適温でした。これならすぐに入ることができます。私は小躍りしました。

しかし、周囲の地面はぐちゃぐちゃ。小湯沼に直接入ろうとすれば、全身が湿地に沈んで脱出不能になるかも。

そこで、ここでもたらいを脇に置き、折りたたみバケツで湯を汲むことにしました。やはりたらいは便利ですね。
湯をたらいに汲むことで小湯沼の水位が下がり、ひょうたん型の凹地が姿を現しました。ちょっと不気味です。

湯に浮かんでいた木くずを丁寧に取り除きます。するとどうでしょう。何と素敵な泥湯になったではありませんか。

いや~、これはもうたまりませんねえ。地獄とパラダイスは紙一重ということを、改めて実感した私がいました。

しばらく泥湯を満喫した後、撤収しようとたらいの湯を捨ててみると、たらいの底には超クリーミーな泥が堆積。
これを全身に塗りたくれば、さぞかし気持ちいいことでしょう。まあ、後始末が大変そうなのでやめましたけどね。

もしかしたらこの湿地帯はかつて広大な温泉の沼だったのかもしれません。それが経年で泥に埋もれたのかも。
本当はまだまだ探検したかったのですが、アブに辟易して今回はこれにて退散。いつかまた出直しますよ・・・
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