秋田県の北部にまで行ったなら、私にはどうしても入っておきたい温泉がもう1つありました。

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その温泉は秋田八幡平エリアにあります。真冬に国道341号を走るのはこれが初。果たして大丈夫でしょうか。

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その温泉の入口に到着しました。ここから先は細い急な坂道を下らなければなりません。その道端には警告看板が。
「危険 急な坂道につき4駆車(4WD)に限る」
雪国新潟生まれ・新潟育ちの私ですが、正直な話、雪道の運転は得意ではありません。う~ん、どうしたものか。

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車を坂道の上に置き、歩いて下ることも考えたのですが、結局意を決して雪の降り積もった急な坂道へ突進!
スリリングなドライブの後、どうにかこうにかお目当ての温泉宿に無事辿り着くことができたのでした。

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その温泉宿とは、「銭川温泉」です。こちらの温泉も、私はこれまで一度も訪れたことがありませんでした。

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中に入ると、玄関にこんなコーナーが。記念にどうぞ、ということでありがたくいただきました。

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このマッチ、昭和に作ったのだそうです。イラストがレトロで味わい深いですよね。絵葉書はそのイラストを採用。
その絵葉書の右側には、「長きにわたるご愛顧、ありがとうございました。」と書かれています。これは一体?

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実はこの銭川温泉は、令和3年3月末で営業を終了することになったのです。しかも、日帰り入浴は1月末まで。
宿泊については、新規予約はもう受け付けておらず、入浴するには1月末までの日帰り利用しかありません。

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この界隈では、後生掛温泉や蒸ノ湯温泉、玉川温泉が有名であり、銭川温泉は少しマイナーな印象ですが、
こちらのオンドル式の湯治部もなかなか素晴らしいのだそうです。一度泊まってみたかったですね。

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まあ滑り込みセーフで日帰り入浴に間に合ったのですから、これでもよかったと思わなくては。では、いざ浴室へ。

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大雪のためか、入浴客は他におらず貸し切り状態。はるばる新潟からやって来た甲斐があったというものです。
湯船は何だか不思議な形ですね。天井と壁は木材、床と湯船はタイル。シンプルですが、温かみのある空間です。

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湯口からは熱めの源泉が静かに注がれています。湯が高温なため、量を絞って投入しているものと思われます。

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源泉名は「トロコ観測井」といい、温度は74.5℃もあります。これを42.0℃に調節して使用しています。

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また、洗い場のシャワーからも温泉が出てきます。肌に優しい温泉だからこそ、ということでしょうね。

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だから、今日はしっかり髪も体もシャワーで洗って、時間の許す限りここでのんびり過ごそうと決めました。

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無色透明でインパクトにはやや欠けるかもしれませんが、サラリとしたいいお湯だと思いましたね。

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湯船にはさりげなくこんなタイルも。ご主人の控えめで優しい人柄が伝わってくるようでした。

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心も体もポカポカになり、さて帰ろうかと思ったら、これから除雪車が作業を行うのでしばらくお待ちをとのこと。
こちらの休憩コーナーで待たせてもらいました。オンドルのおかげでこの場所も温かく、居心地がよかったです。

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日帰り入浴終了後、2・3月はゆかりの商品の通信販売を行うのみとなります。入浴希望の方はお急ぎください。

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家族経営の素朴なオンドルの温泉宿。いい温泉がまた1つ消えようとしています。優しいご主人、どうかお元気で・・・